Tuesday, July 07, 2009

Sally Mann


Jessie 5y, 1987
5歳のジェシー



Jessie Bites, 1985



Sally Mann (サリー・マン)
1951年バージニア州(Virginia)レキシントン(Lexington)生まれの写真家。

サリー・マンの写真で最初に見たのは、自分の娘たちを撮影したシリーズだったと思う。特に印象に残っているのは『5歳のジェシー』という作品。サリー・マンといえばこの写真を思い浮かべ人は多いのではないだろうか。この作品には三人の少女が写っていいるのだけど、左右のふたりはやや後ろに立っていて、その像がぼやけている。中央の少女ジェシーは上半身裸で、迫り出すように右肩を出し、こちらを正面から見つめている。裸の少女が写っているとかそういうことはどうでもよく、ジェシーのその視線がただ恐ろしかった。あの瞳、視線はなかなか忘れられるようなものではない。母であるサリー・マンは何を思い、ファインダー越しに娘を見つめていたのだろう。母と娘という関係性とは別の力がそこに働いているように見える。親子とはいえないような厳しさがそこにはあるのだ。見ていると疲れてくるのはそういったところにあるのだろう。だからサリー・マンの写真が好きだからといって、そう度々見返すことは無い。

サリー・マンの写真には思春期を迎える前の少女から思春期真っ盛りの少女が多く登場する。場合によっては服を着ておらず、少女がこわれもののの様な裸体を晒した作品も少なくない。
だからご多分漏れず、児童ポルノだの児童虐待だのといった非難を浴びたり論争に巻き込まれることもあり、1992年には、この問題をテーマにしたドキュメンタリー映画『血の絆:サリー・マンの生活と製作 "Blood Ties:The Life and Work of Sally Mann"』が制作された。
サリー・マンの写真に登場する少女たちに、痛々しさや残酷さや場合によってはある種の性的な感覚を感じないではないが、これは児童ポルノや児童虐待に直接結びつくものではない。性的情動を刺激するために撮影されたものではないのに、なぜかそう見てしまう人たちがいる。そういった人たちは、サリー・マンの写真を見て感動を覚える僕や他の人たちとは別のものを、サリー・マンの写真ではなく、そこに反射された自分の内に潜むのものを見出しているのではないだろうか。そう思えて仕方が無い。

僕が持っている写真集は、1988年に発表された写真集"At Twelve: Portraits of Young Women (12歳)"のみなのだが、この写真集の中でも少女たちに向けるサリー・マンの視線は厳しい。
ちなみに最初に触れた5歳のジェシーことジェシー・マン(Jessie Mann)は、自身が写真家となり活動している。以前たまたま見かけてブクマしたのだけど、どこにブクマしたのか見当たらない。

Wikipedia
Sally Mann Gallery
Art:21 . Slideshow | PBS

2 comments:

fumi_o said...

こんにちは。
子供の頃の写真の印象が強烈な分、現在のJessie Mann 自身の写真は割と普通だなあと、下記のサイトを見たときに感じました。
http://www.danzigerprojects.com/exhibitions/2006_09_jessie-mann-self-possessed/

cha cha 2000 said...

ども。

ありがとうございます。
早速URL先の作品を見てきました。
こういった作品でしたっけ?
う~ん、僕の記憶の中じゃモノクロの風景写真なんですよ、Jessie Mannの撮る写真って。
別の人の写真を間違って記憶しちゃったのかな。

まあ、普通っちゃあ、普通ですね。
でも、後ろ向きに横たわる感じの女性のヌードなんかは、アングルへのオマージュなんでしょうが、結構好きです。