shirakaba

shirakaba (シラカバ)
廃墟と巨大建造物と少女で作品が成り立っている。最初にshirakaba の作品を見た時の印象はそういったものだった。shirakaba の作品を見た方は概ねそう感じるのではないだろうか。

SF マンガが好きな人は、ビジュアル的に似た世界観を持った作品について考えてみた時、もちろん、shirakaba が影響を受けた絵を描いているってこともあるのだけど、ジャンクと化した未来、どこまでも広がっていく巨大高層建築、そのメガロマニアな構造物に反比例するよう迫ってくる閉塞感、そしてその世界全体を覆い尽くす終末観を余すことなく描いた弐瓶勉の 『BLAME!』 のことを思い浮かべるだろう。もちろん他の映画やマンガなどからの影響も見られなくはないんだけど、もっとも強い影響を感じさせるのは、弐瓶勉からのものだった。
だから、作品中に描かれる少女のいくつかのタイプの内のひとつは、弐瓶勉的な痩身の少女ということにもなってくる。他には、例えばどこか江川達也 (？) 的な肉々しさを持った女のコが登場する日常ベースの作品などもあったりするので、弐瓶勉が描くあの病的に痩せ細った身体へのこだわりというのはさほどないのかもしれない。

気になる作品を描く人だったので、たまにサイトへお邪魔して新作が追加されていないかチェックするようになった。ここ最近追加された作品が好みなので、ポストする作品はそれらを中心にチョイスした。

不時着した巨大宇宙船とその宇宙船に搭乗していたと思しき人物、そしてそれを眺める犬と散歩中といった感じの少女を描いた1枚目の、非日常的なものと日常的な行為がおさまったその風景は、全体としては非日常的としかいえない風景なのに、これがさも日常的だとでもいうかの様に描かれていて面白い。

日本の高度経済成長期のゴミゴミとした下町が、そのまま未来においても反復されるのだとでも言いたげな風景に見えなくもない2枚目。巨大モニターに映し出された緑髪の女の子は、ニーハオにゃんと歌ったっていた女の子なんだろうか？思えばあの世界もメガロマニアに出来上がっていて、なんといっても巨人族が登場するし、その世界観だけは素晴らしい。なのに、物語が残念、とても残念。
ん？!この作品って宇宙船の内部を描いたものなのか？質問しておけばよかった。

そして、無機質でハードな未来や現代の日常生活だけじゃなく、こういった世界観も持っていたのかと少し驚いたのが、ナウシカの世界に登場しそうな巨大な百足の様な節足動物 (かな？) を連れた少女が散歩してるところに対面から馬車がやってくるという、馬車が交通手段の主流だった時代――例えば空想科学小説が盛んに読まれていたヴィクトリア朝期のイギリスとか――を背景にしていると思われる3枚目の作品。

以上の3点を含む最近の作品は、shirakaba がいろんなものから影響を消化して次のステージへ進んだ様に感じられて、見た時はちょっと嬉しかった。

4枚目は、ハイカロリーライフ満喫中の弐瓶勉的少女。

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